第二回 連成シミュレーションフォーラム

--- 階層的な時間スケールが作り出す非平衡非定常性をどうとらえるか ---

開催日時:
2007年2月2日(金曜) 13:00〜21:00
2007年2月3日(土曜) 09:00〜17:00
開催場所 (アクセス方法):
福岡リーセントホテル(福岡市東区箱崎2丁目52番1号)
お問い合わせ:
九州大学 情報基盤センター (福岡市東区箱崎6−10−1)
Tel. 092-642-6469
CA-contact@liberty.cc.kyushu-u.ac.jp
事務局:
青柳 睦 (九州大学)
戸田 幹人 (奈良女子大学)
高見 利也 (九州大学)
小林 泰三 (九州大学)
主催:
九州大学 情報基盤センター
協力:
最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用プロジェクト: NAREGIプログラム

フォーラムのポスターができました。
クリックするとPDFファイルが開きます。


研究会の主旨

計算機の能力の飛躍的な拡大によって、現象をできるだけ忠実に再現し、 その詳しい解析を行なうという研究手法は、物理学や化学から生物学、 さらには医学・生理学の分野にまで広がりつつある。特に最近では、 階層的な時間・空間スケールを持つ系に対しても、 マルチスケール・マルチフィジックスシミュレーション という形で大規模な数値計算が行なわれるようになっている。 時間・空間スケールに階層構造を持つ現象は広く自然界で知られており、 計算機シミュレーションの題材にはこと欠かない。 しかし計算の収束性や再現の妥当性、さらには階層を分離する一般的方法の開発等、 マルチスケール・マルチフィジックスシミュレーションが立脚すべき 理論的枠組の展開は極めて不十分である。 そもそも、古典力学と量子力学、連続体力学と質点系の力学など、 異なる法則・描像に従う複数の階層から成る系を首尾一貫した方法で 扱うことができるのか、首尾一貫した方法で扱える事を保証する一般的な原理は何か、 異なる階層間の境界をどう設定するのか、 その境界が動的に変動する場合にどう対処するのか、 異なる階層の間を行き来する自由度をどう扱うのか等、 方法論の根幹に関わる問題点は数多い。 また得られた結果に対するデータ解析の際にも、 ゆっくりした時間スケールで変動する集団的な自由度をどう抽出するのか、 そのような集団的自由度の運動を記述する現象論をどう構築するのか、 複数の時間・空間スケールに渡る相関や因果関係をどう検証するのか等、 複雑かつ階層的な自然現象を理解する場合に、 我々が普遍的に向き合うであろう様々な問題がある。

これらの問題は一朝一夕に解決できるものではなく、 多くの分野に渡る研究者の間の有機的な交流によって、 初めて進展が得られる事が期待できる。 本研究会「連成シミュレーションフォーラム」では、 以上に述べた長期的な展望に立ち、 多分野間に渡る持続的な交流の場を提供する考えである。 特に今回は、分子レベルにおいて階層的な時間スケールを持つ系を中心的に据え、

  1. 階層的時間スケールを持つ力学系における非平衡・非定常性の 普遍的な特徴を解明するとともに、化学反応におけるレート方程式などの 現象論的な方法に対して、その動力学的な基礎と限界を明らかにする
  2. 階層的な時間スケールに起因する分子レベルの非平衡・非定常性が、 生体分子の機能発現・情報処理において持つ意味を検討するとともに、 ミクロなレベルにおける非平衡性が、よりマクロな現象に与える影響を解明する
等の理論的な課題を議論する。さらにこれらの議論を受け、 一般に階層的な時間スケールを持つ系における非平衡・非定常性をとらえうる、 具体的な大規模数値計算を構想するとともに、 データ解析において非平衡・非定常性を解析するための 新たな枠組みを建設することを展望して、
  1. 階層的な時間スケールを持つ系に対して、 特徴的な時間スケールを取り入れた積分スキームを開発するとともに、 得られた結果に関して、注目する時間スケールに対応する描像を建設する
  2. 或る階層での特徴的な現象を扱う近似モデルに対し、 このモデルが破綻するような特異的な状況での現象の記述方法を考察する
という課題を中心に議論を進めていきたい。以上に述べてきた課題を含めて、 階層的な時間・空間スケールを持つ現象に対して、 方法論的な発展と理論的な展開に関心のある多くの方々の参加を呼びかける。

プログラム

2月2日(金曜日)
12:30-13:00 受け付け
13:00-13:10 開会の挨拶 戸田 幹人 (奈良女子大)
13:10-13:30 主旨説明 小林 泰三 (九大)
13:30-18:45 セッション(1)「非平衡統計力学と力学系」 [座長 戸田 幹人 (奈良女)]
13:30-15:00 講演者 奈良 重俊 (岡山大) (アブストラクト)
生体高分子における情報伝達・エネルギー輸送・変換の素過程に潜む不可思議さ
--- Maxwell Demon 再生をめぐる議論の先に見えるものは? ---
15:15-16:15 講演者 小路口 暁 (NEC生産技術研) (アブストラクト)
非エルゴード的な力学系における巾的な時間分布
--- 反応過程に対するミニマルモデルの解析 ---
16:30-17:30 講演者 首藤 啓 (首都大) (アブストラクト)
ハミルトン系における遅い緩和: その数値的検証を巡るいくつかの話題
17:45-18:45 討論
19:00-21:00 懇親会&ポスターセッション
ポスターセッションの発表者リストとアブストラクト
2月3日(土曜日)
09:00-12:00 セッション(2)「流れの中の階層性」 [座長 高見 利也 (九大)]
09:00-10:30 講演者 河原 源太 (大阪大) (アブストラクト)
乱流の小スケール運動に見られる普遍性と不安定周期運動
10:30-11:00 Coffee Break
11:00-12:00 討論
12:00-13:00 昼食
13:00-16:00 セッション(3)「High-Performance Computing」 [座長 小林 泰三 (九大)]
13:00-14:30 講演者 何 希倫 (日立 基礎研)
製品設計におけるマルチフィジックスシミュレーション
14:30-15:00 Coffee Break
15:00-16:00 討論
16:00-16:10 閉会の挨拶 [青柳 睦 (九大)]
16:10-16:20 事務連絡など [高見 利也 (九大)]

参加登録について

参加人数の把握のため、2007年1月19日(金曜)までに参加登録をお願いしています (ただし、厳密な〆切というわけではありませんので、直前まで受け付けます。 また、当日の参加も受け付けます)。 参加を希望される方は、電子メールの本文に

----------------------------------------------------------
氏名:
所属(学生の場合はその旨明記): 
連絡先メールアドレス:
参加日程: [全日、2月2日のみ、2月3日のみ]
ポスター発表: [希望有、無し]

# 以下は、ポスター発表希望者のみ
ポスターの著者:
ポスターのタイトル:
ポスターのアブストラクト:
----------------------------------------------------------
を記入の上、 CA-appl@liberty.cc.kyushu-u.ac.jp 宛にお送り下さい。 事務局で受付が完了次第、確認メールをお送りしますが、 三日以上過ぎてもメールが届かない場合は 事務局 までお問い合わせ下さい。

ご注意: ご記入いただいた連絡先メールアドレスは、当研究会開催までの間、
お知らせをお送りするために使わせていただきます。なお、当研究会終了後も、
関連する研究会の御連絡を差し上げる場合があります。御希望にならない場合、
「研究会後の連絡メール不要」と明記下さい。また、参加登録いただいた内容
の内、メールアドレス以外については、参加者一覧・ポスター発表一覧等の形で
研究会のウェブ上で公開する可能性があることを御了承下さい。

なお、参加費は無料を予定していますが、 初日に参加される方は、ポスターセッション時の飲食費として、 お一人あたり2,000円前後を集めさせていただくこととします (ただし学生は無料の予定)。 何卒御協力のほどよろしくお願いします。

ポスター発表を希望される場合は、以下の注意事項をお読みの上、 参加登録時に「ポスター発表: 希望」と明記してお申し込み下さい。

ポスター発表申し込みに際してのお願い

2月2日(金曜日)に行なうポスターセッションの発表者を募集します。 今回の研究会の主旨に鑑みて、すでに得られた結果に関する内容よりむしろ、 今後の問題提起につながる形の、意欲的な発表を奨励します。 境界領域の研究会であることから、出来るだけ研究の背景等の説明を入れ、 他分野の研究者が研究の動機や展望を共有しやすくなるような工夫をお願いします。 なお、研究会の休憩時間等を利用して議論を進めていただくために、 2月2日の研究会開始から2月3日の終了時まで、 ポスターを掲示し続けていただける予定にしています。この機会を利用して、 さまざまな分野の方と議論・交流をしていただくことを期待します。


宿泊等について

福岡での宿泊を予定されている場合、 ホテルのウェブページや旅行仲介サイトを通じて 参加者個人で予約していただくようお願いします。ただし、 研究会の会場である福岡リーセントホテルには限られた数の部屋しかありません。 会場から徒歩で移動出来る範囲には他にほとんど宿泊施設がありませんので、 地下鉄で移動できる福岡市中央区の天神、あるいは、 中洲・川端方面の宿泊施設を利用いただくようお願いします。


会場へのアクセス

会場は、九州大学箱崎キャンパスと馬出キャンパスから、 ともに徒歩10分程度の場所にあります (周辺の Google地図 参照)。 公共交通機関を利用される場合は、以下の方法が便利です。

福岡空港から(地下鉄利用の場合: 約30分、290円)
福岡市営地下鉄空港線 中洲川端駅にて乗り換え、貝塚線 箱崎宮前駅下車。 3番出口より徒歩5分。
福岡空港から(タクシー利用の場合: 約20分、1,500円前後)
「(東区箱崎の)福岡リーセントホテルへ」と運転手に告げる。
博多駅から(JR利用の場合: 約25分、220円)
鹿児島本線小倉行普通で箱崎駅下車。徒歩15分。
博多駅から(地下鉄利用の場合: 約25分、250円)
福岡市営地下鉄空港線 中洲川端駅にて乗り換え、貝塚線 箱崎宮前駅下車。 3番出口より徒歩5分。

クリックで周辺のGoogle地図へ