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講演アブストラクト: 有光 敏彦 (筑波大学大学院 数理物質科学研究科)
- 講演日時:
- 2008年3月7日13:30-15:00
- 講演題目:
- 乱流のマルティフラクタルPDF解析とその周辺
(発表資料)
- 要旨:
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充分発達した乱流が実現する状況(高Reynolds数)において,
乱流の基礎方程式(N-S方程式)はある尺度変換不変性を持つが,
それに起因する特異性が速度勾配や流体粒子加速度に現れる。
マルティフラクタルPDF解析は,「その特異性強度が実空間に
マルティフラクタル分布している」という仮定の基に,それが間欠性の
原因であるとして構築されたアンサンブル的統計理論である。
確率密度関数(PDF)の裾野部分は,この特異性分布が決定している。
一方,N-S方程式には尺度変換不変性を破る項(散逸項)があり,
観測されるPDFには当然この影響も含まれているはずである。しかし,
これまでの乱流のアンサンブル理論にはこの効果を取り込んだもの
はなく,そのほとんどがm次速度構造関数(速度揺らぎの
m次モーメント)のスケーリング指数を観測結果と比較する段階
までに止まるという状況であった。マルティフラクタルPDF解析では,
この影響は,標準偏差より狭い中心部分のPDFを決定するものとして
取り込まれている。
講演では,マルティフラクタルPDF解析の特徴を紹介し,それ以前の
乱流の統計理論との相違を検証するとともに,その有用性を
紹介したい。
- 参考文献:
-
[1]
T. Arimitsu and N. Arimitsu,
Journal of Physics: Conference Series 7 (2005) 101-120.
[2]
T. Arimitsu, N. Arimitsu, K. Yoshida and H. Mouri,
"Multifractal PDF analysis for intermittent systems,"
in Anomalous Fluctuation Phenomena in Complex Systems:
Plasma Physics, Bio-Science and Econophysics
(Special Review Book for Research Signpost), eds.
C. Riccardi and H.E. Roman (Transworld Research Network,
Kerala, India, 2008).
[3]
有光敏彦,有光直子 「乱流のマルティフラクタル解析」
in 数理物理への誘い5---最新の動向をめぐって
(遊星社, 2005)[ISBN4-434-05801-0] pp.41--68.
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