第三回 九州大学 産業技術数理研究センター ワークショップ
[兼 第三回 連成シミュレーションフォーラム]
「自然現象における階層構造と数理的アプローチ」
Hierarchical Structures in Nature: how we can approach them in mathematics
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講演アブストラクト: 小嶋 泉 (京都大学 数理解析研究所)

講演日時:
2008年3月7日09:00-11:00
講演題目:
量子古典対応とミクロ・マクロ双対性 (発表資料)
要旨:
ミクロとマクロ,量子と古典の相互関係を統一的かつ柔軟に理解するには, どのような方法論と物理理論のどんな組替えが必要か? という問題に永年こだわって来ました。 この講演では,そのための重要なヒントのひとつが, 量子力学誕生前後から重要な役割を果たしながらいつしか忘れ去られてしまった 「量子古典対応」という物理的直観にあり, その一般的本質を数学的な形で具体化するものとして 「ミクロ・マクロ双対性」という方法論があり得る,ということをお話します。 後者を整備する上でカギになるのは「セクター」または「純粋相」という概念ですが, それを用いると,「量子古典境界」をあいまいさなく定義することが可能です。

この研究会の「趣旨」には, 次のように重要な基本的課題がいくつも挙げられています: 例えば,「異なる法則・描像に従う複数の階層から成る系を 首尾一貫した方法で扱うことができるのか」, それを「保証する一般的な原理は何か」, 「異なる階層間の境界をどう設定するのか」, 「境界が動的に変動する場合にどう対処するのか」, 「得られた結果に対するデータ解析の際にも、 ゆっくりした時間スケールで変動する集団的な自由度をどう抽出するのか、 そのような集団的自由度の運動を記述する現象論をどう構築するのか」, 「複数の時間・空間スケールに渡る相関や因果関係をどう検証するのか」,等々。 これらの課題に対して,上のような視点からどこまで答えられるか, 今後どういう追究が可能か・必要か?を考察することは, 大変 challenging で興味深い問題です。そういう方向で有益な議論が拡がり, 深められることを参加者の一人として大いに期待しています。

参考文献:
[1] 小嶋 泉「代数的量子論とミクロ・マクロ双対性」, 数理科学 No.529 (2007年7月号) 特集:「代数的物理観」 (サイエンス社).
[2] 小嶋 泉、谷村 省吾「双対性をめぐる物理学対話」, 別冊数理科学 2007年4月号「双対性の世界」, pp.34-44 (サイエンス社).

(注) 上記 [1]、[2] のPDF (full text)については、 出典を明記すればウェブ上に掲示しても良いという許可を、 出版元のサイエンス社よりいただいています。


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