第三回 九州大学 産業技術数理研究センター ワークショップ
[兼 第三回 連成シミュレーションフォーラム]
「自然現象における階層構造と数理的アプローチ」
Hierarchical Structures in Nature: how we can approach them in mathematics
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研究会の主旨

計算機の能力の飛躍的な拡大によって、現象をできるだけ忠実に再現し、 その詳しい解析を行なうという研究手法は、物理学や化学から生物学、 さらには医学・生理学の分野にまで広がりつつある。 特に最近では、階層的な時間・空間スケールを持つ系に対しても、 マルチスケール・マルチフィジックスシミュレーションという形で 大規模な数値計算が行なわれるようになっている。 時間・空間スケールに階層構造を持つ現象は広く自然界で知られており、 計算機シミュレーションの題材にはこと欠かない。 しかし計算の収束性や再現の妥当性、さらには階層を分離する一般的方法の開発等、 マルチスケール・マルチフィジックスシミュレーションが立脚すべき 理論的枠組の展開は極めて不十分である。そもそも、古典力学と量子力学、 連続体力学と質点系の力学など、異なる法則・描像に従う複数の階層から成る系を 首尾一貫した方法で扱うことができるのか、 首尾一貫した方法で扱える事を保証する一般的な原理は何か、 異なる階層間の境界をどう設定するのか、 その境界が動的に変動する場合にどう対処するのか、 異なる階層の間を行き来する自由度をどう扱うのか等、 方法論の根幹に関わる問題点は数多い。 また得られた結果に対するデータ解析の際にも、 ゆっくりした時間スケールで変動する集団的な自由度をどう抽出するのか、 そのような集団的自由度の運動を記述する現象論をどう構築するのか、 複数の時間・空間スケールに渡る相関や因果関係をどう検証するのか等、 複雑かつ階層的な自然現象を理解する場合に、 我々が普遍的に向き合うであろう様々な問題がある。

これらの問題は一朝一夕に解決できるものではなく、 多くの分野に渡る研究者の間の有機的な交流によって、 初めて進展が得られる事が期待できる。 本研究会では、以上に述べた長期的な展望に立ち、 多分野間に渡る持続的な交流の場を提供する考えである。

特に今回は、

  • 量子古典対応を数理的な観点から厳密に考え直す
  • 非定常な現象に関してエルゴード性の概念を拡張する
  • 乱流の複雑なダイナミクスに見られる階層性とその数理的扱い
  • 階層的な構造を持つデータに対する解析手法の開拓
  • 多様な現象を記述する連成シミュレーションと解析手法の現状
等の問題に焦点を当て、数理的視点と計算科学的視点の両面から、 総合的に討論することとする。以上に述べてきた課題を含めて、 階層的な時間・空間スケールを持つ現象に対して、 方法論的な発展と理論的な展開に関心のある多くの方々の参加を呼びかける。

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