分子研研究会 「分子科学における連成シミュレーションの基礎理論と応用」
Coupled Simulation in Molecular Science: Theories and Applications
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ポスター発表者・タイトル・概要

場所:
山手三号館2階 中会議室(共通セミナー室)
時間:
[8月29日 16:30-18:00]
プログラム

P01: 藤井幹也、高塚和夫 (東京大)
「量子動力学法、半古典動力学法、および経路積分MC法において非断熱遷移を考察する新しい方法論」
P02: 寺本 央、小松崎 民樹 (神戸大)
「正準変換摂動理論による遅い作用変数の抽出法とそれによる動力学の解明」
P03: 赤石暁、首藤啓 (首都大)
「長時間相関のある2次元区分線形写像の不安定周期軌道」
P04: 柳井毅 (分子研)
「大型多配置電子状態法と正準変換理論の開発」
P05: 岡本吉史 (理研)
「有限要素法による共振器内部の各種運動を考慮した電磁波・熱伝導連成解析」
P06: 高橋公也 (九工大)、小林泰三、高見利也、壬生亮太、青柳睦 (九大)
「流体と音波の連成シミュレーション」
P07: 島伸一郎 (地球シミュレータセンター)
「拡散結合する自励振動子系の連結階層シミュレーション」
P08: 島田尚、小串典子、伊藤伸泰 (東京大)
「古典系における輸送現象の分子動力学シミュレーション」
P09: 小串典子 (東京大)、湯川諭 (大阪大)、島田尚、伊藤伸泰 (東京大)、B. Li (シンガポール大学)
「界面の構造と熱輸送」
P10: 馬場 昭典、小松崎 民樹 (神戸大)
「一分子時系列から自由エネルギー地形を読み取る」
P11: 矢ヶ崎琢磨、斎藤真司 (分子研)
「水の分子間運動の二次元赤外分光に関する理論計算」
P12: 西岡宏任、垣谷俊昭 (名城大)
「蛋白質中電子移動反応における電子トンネリングカレントの揺らぎの起源」
P13: 山口義幸 (京大)、A. Antoniazzi (Univ.of Florence)、D. Fanelli (Univ.of Manchester)、S. Ruffo (Univ.of Florence)
「長距離相互作用系における非平衡統計力学」
P14: 大林加奈子、戸田幹人 (奈良女大)、木寺詔紀、渕上壮太郎 (横浜市大)
「生体分子の分子動力学計算に関する時系列解析」
P15: 真木 淳、高見利也、大庭 淳一、青柳 睦 (九大)
「AO Populationを用いた3DRISM-SCF」
P16: 壬生亮太、小林泰三、大庭淳一、高見利也、真木淳、のぎ田理恵、青柳睦 (九大)
大規模連成計算環境構築のための階層的概念

P01 量子動力学法、半古典動力学法、および経路積分MC法において非断熱遷移を考察する新しい方法論
藤井幹也、高塚和夫(東大院総文)
分子のように核や電子といった複数の時間スケールが混在した系においては非断熱遷移と呼ばれる現象があります.我々は非断熱遷移を考察する新しい量子波束動力学法、半古典波束動力学法、及び経路積分モンテカルロ法を開発しましたので発表致します。
P02 正準変換摂動理論による遅い作用変数の抽出法とそれによる動力学の解明
寺本 央、小松崎 民樹(神戸大理)
 流体などのマクロスケールの現象と比較すると蛋白質などが属する メソスケールの現象の理解はまだ進んでいません。その理由の一つには 現象の鍵となるオーダーパラメーターが前者と比較してまだよく知られていない ことが挙げられます。  たとえば流体の場合には流体モードと呼ばれる密度場などの、 ミクロな自由度と比較すると十分遅い時間スケールを持つ、 力学変数がすでに知られています。  一方で、後者に関しては、そもそも流体モードのような遅い変数が存在するのか?あるいは存在したとしたらどのようなモードなのか?という問いには、 現象自体のスケールが中途半端であることと、現象に関わる自由度の不均一性があいまって、まだ答えられてはいません。  このような遅い変数を取り出すための一つの方法論に正準変換摂動理論 という理論が知られています。しかし、この理論は大自由度系へ適用する ことが困難であったり、摂動そのものの発散という問題など様々な 問題を抱えています。本発表では、これらの問題と関係する 正準変換摂動理論に付随する正準変換の相空間変数に関する打ち切り 誤差の問題を指摘して、それを回避する我々の方法論およびその応用例の 紹介をいたします。また、その応用例を通してメソスケールにおける遅い 変数とは存在するとするとどのようなモードなのかということを議論したいと 思います。
P03 長時間相関のある2次元区分線形写像の不安定周期軌道
赤石暁、首藤啓(首都大理工)
中立周期軌道族が存在する2次元区分線形写像の不安定周期軌道と、再帰時間分布などに見られるベキ的な長時間相関との関係を議論する。
P04 大型多配置電子状態法と正準変換理論の開発
柳井毅 (分子研)
大規模な高精度量子化学計算を実行することを目指す手法開発に関して発表する。主に、ab initio DMRGをベースにする大規模CASSCF法の開発および、動的電子相関を記述する多参照正準変換理論の開発を示す。
P05 有限要素法による共振器内部の各種運動を考慮した電磁波・熱伝導連成解析
岡本吉史 (理化学研究所 情報基盤センター)
誘電加熱のために使用する共振器の設計では,被加熱体の発熱状況,散乱行列,キャビティ寸法等の初期設計値を数値的に評価するために,電磁波・熱伝導連成解析は,実機設計の観点から極めて重要な手段となる。本研究では,廃プラスチック内の塩化ビニル樹脂(PVC)を誘電加熱によって,効率的に処理するための高効率リサイクル誘電加熱炉の実機設計を目的とし,工学的に実用性のある電磁波・熱伝導連成解析手法を提案する。
従来,電子レンジのような共振器の電磁波・熱伝導連成解析では,FDTD法のような時間領域の解法が主に使用されている。しかし,電磁波の伝搬と熱伝導の時間発展スケールは大幅に異なるため,時間領域で双方をカップリングさせると,時間ステップ数が大幅に増加する。共振器内の電磁界は,単一周波数で励振されていることと,過渡状態よりも定常状態の把握が重要となることより,周波数領域の解析が効率的である。以上より,本研究では,離散化形状の自由度が高く,周数領域の解析が可能である有限要素法を使用する。
実際の誘電加熱機器では,一様加熱化のために,ターンテーブルやステラファン等の運動を伴った物体が共振器に内在している。本発表では,運動する物体を解析領域内に包含する電磁波・熱伝導連成解析手法を提案し,実機モデルにおいて有用な成果が得られたので報告する。
P06 流体と音波の連成シミュレーション
高橋公也(九工大)、小林泰三、高見利也、壬生亮太、青柳睦 (九大)
楽器の発音機構のうち、流体音に起因するものを連成シミュレーション手法によって研究する。特に、渦音の発生と共鳴器を通した周波数選択、そして流体運動へのフィードバックの機構を明らかにすることが目的である。
P07 拡散結合する自励振動子系の連結階層シミュレーション
島伸一郎 (地球シミュレータセンター)
拡散結合する自励振動子場に対して、部分的に位相縮約を適用し、振動場の振舞いが良く再現できるか調べる。
P08 古典系における輸送現象の分子動力学シミュレーション
島田尚、小串典子、伊藤伸泰(東京大学物理工学)
巨視的なスケールでのエネルギー輸送現象(拡散型熱伝導則やバリスティックな伝導など)の起源の理解を目指して行ってきた我々の近年の研究成果とそこからの展望について発表、議論する。
P09 界面の構造と熱輸送
小串典子 (東京大学大学院工学系研究科), 湯川諭 (大阪大学大学院理学系研究科), 島田尚 (東京大学大学院工学系研究科), 伊藤伸泰 (東京大学大学院工学系研究科), B. Li (シンガポール大学)
相界面のような微視的構造を持つ系における熱輸送は、非平衡熱輸送を理解する上で興味深い対象である。本発表では、気液界面の微視的構造及び界面での特徴的な熱輸送である界面熱抵抗について発表する予定である。
P10 一分子時系列から自由エネルギー地形を読み取る
馬場 昭典、小松崎 民樹 (神戸大)
生体分子の一分子時系列は、アンサンブル平均されない個々の分子の 運動の情報を含んでいる。我々は、これらの時系列から局所平衡状態を 抽出し、自由エネルギー地形を復元する新しい解析手法を開発した。 この方法を46ビーズBLNモデルタンパクのMD計算から得られた時系列に 適用し、実際にどの程度自由エネルギー面が再現できるかを評価した。
P11 水の分子間運動の二次元赤外分光に関する理論計算
矢ヶ崎琢磨、斎藤真司 (分子研)
二次元赤外分光法(2D IR)は系の電場に対する3次の応答を測定する強力な実験手法である. 我々は分子動力学計算を用いて水の分子間運動の2D IRスペクトルを計算した. 本発表では2D IRスペクトルのピークの起源, またスペクトルから読み取れる水の様々な性質(不均一性とその緩和, エネルギー遷移など)について議論する.
P12 蛋白質中電子移動反応における電子トンネリングカレントの揺らぎの起源
西岡宏任、垣谷俊昭 (名城大学大学院総合学術研究科)
蛋白質中長距離電子トンネル移動では、蛋白質構造の熱揺らぎによって、電子トンネル行列要素が数10fsで2〜3桁程激しく揺らぐことが知られている。この電子トンネル行列要素は、蛋白質中を通る複数の電子トンネリングカレントの和を取ることで求めることができる。そこで我々は、光合成バクテリアの反応中心の電子移動系を対象とし、分子動力学シミュレーションと量子化学計算を組み合わせた手法を用いて、トンネリングカレントの揺らぎの性質とその揺らぎの起源を調べた結果を報告する。
P13 長距離相互作用系における非平衡統計力学
山口義幸 (京大情報)、A.Antoniazzi (Univ.of Florence)、D.Fanelli (Univ.of Manchester)、S.Ruffo (Univ.of Florence)
長距離相互作用をするハミルトン系は、熱平衡状態に至る過程で しばしば準定常状態と呼ばれる状態にとどまることがある。準定常状態のライフタイムは自由度と共に長くなるため、 この状態を統計力学的に予測することは重要な問題である。本発表では、強磁性体モデルの準定常状態を統計力学的に予測し、 作った相図をN体数値計算の結果と比較して予測の正当性を示す。
P14 生体分子の分子動力学計算に関する時系列解析
大林加奈子、戸田幹人 (奈良女子大学)、木寺詔紀、渕上壮太郎 (横浜市立大学)
生体分子の運動において、集団運動がどのような動力学で励起されるのかという問題は、生体分子の機能発現の動的メカニズムを理解する上で、決定的に重要な課題である。本研究では、ウエーブレットを用いてゆっくりした運動を抽出し、その解析を試みたのでその結果を報告する。
P15 AO Populationを用いた3DRISM-SCF
真木 淳、高見利也、大庭 淳一、青柳 睦 (九大)
溶液中の溶質分子の電子状態を調べるための方法として溶媒に対する統計 力学的方法(RISM)と溶質分子に対する量子化学的方法(SCF)を結合するRISM-SCF があるが3DRISMの場合溶質分子によるポテンシャルの計算量が膨大になりやすい。 簡便なAO Populationを用いる方法について検討する。
P16 大規模連成計算環境構築のための階層的概念
壬生亮太、小林泰三、大庭淳一、高見利也、真木淳、のぎ田理恵、青柳睦 (九大)
大規模な連成計算向けの環境として、 分散した計算機から計算能力を集積するグリッドと呼ばれるシステムがある。 今、研究開発段階であるこのグリッドに新たな問題が出てきた。 それは、複数台の計算機にまたがる大規模で複雑な分散システム構築のために、 個々の計算機で実現される機能をシステム全体の整合性を保つように 配置・結合する作業が、システムの規模に伴い煩雑化するという問題である。 大規模分散システム実現のためには、 これらの煩雑な作業を管理または支援するような機構が必要であり、 そのためにはソフトウェアに対する階層的概念が有用である。 本発表では具体的な階層的概念の提案、及び、 それに基づき実装したNAREGIグリッド環境構築ツールについて議論する。

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